コンセプトをかたちに |
Tプランのル−ルや考え方 |
間取りは自分流 ベ−ス(外周ライン)の中で、1mモジュ−ルの自由なプランが作れます。自分自身で楽しみながら作ってみてください。
オ−プンプラン できるだけ個室に区切らないオ−プンな間取りを心がけましょう。「子供室は6帖必要」とかスペ−スを区切られた広さに置き換えるのを止めてみましょう。帖数にとらわれないようにすると発想が自由になります。お子様が小さければ、とりあえず子供室は個室に区切らず広い空間としておいておきましょう。いろんな用途に使えます。
個室にするのはとりあえずは主寝室ぐらいでしょうか。 子供さんがある程度の年齢の場合もほんとに個室がよいのか、考えてみましょう。子供のライフワ−クに必要なスペ−スは、寝るスペ−スと勉強するスペ−ス・・。そう考えるといろんな間取りが浮かんできます。
生活のイメ−ジ
間取りをつくるには固定概念にとらわれずに「生活のイメ−ジ」を膨らませることが大切です。居間にはリビングセット等の家具調度品がほんとに必要でしょうか。いや、その前に「居間」ってなにをするスペ−ス?食堂と居間で6帖x2室分のスペ−スが・・? たとえばロッキングチェアを2台転がしておく程度なら居間の広さは・・。
・可動の家具で空間を仕切る
壁やドアさえもほんとに必要なものか検討してみませんか。つくりつけの収納家具は一見便利そうですが、スペ−スをとりますし将来の間取りの可変性を妨げます。収納は必要ですが、最小限の可動の家具で空間を間仕切ることを考えてみましょう。家具の上部が開いていることは空間を広く見せますし、心理的にも開放感を感じます。移動させることで部屋の模様替えや将来の間仕切り変更がかなり自由になりますよ。讃岐舎では移動可能なオリジナル家具をご用意しています。
プランのル−ル
「讃岐舎」では柱や壁の配置に一定のル−ルを設けています。少しだけ間取りが不自由になるかも知れませんがこのル−ルは譲れません。ル−ルがあることで通常以上の強度を保証することができます。また無理な構造にならないことはコストも安定させます。
風通し
「風通し」は大切にしたいと思います。香川の夏の暑さは半端でありません。
「家のつくりやうは夏をむねとすべし」
吉田兼好「徒然草」の言葉にもあるように、エアコンなしで過ごせる家をつくりたいものです。 なんでもないことですが、意外にできない次のようなことにこだわりたいと思います。 a.香川では夏場海からの風が吹きます。これを取り込むために北側、西側に窓をできるだけ取りましょう。 b.南北に風の抜ける間取りにすること。特に寝室は夏でもエアコンなしで寝られること、これ基本ですよね。できれば全ての室に南北の風が通るようにしたいものです。実はそんなに難しいことではないんです。 c.窓はできるだけ「引き違い窓」にしましょう。「引き違い」は日本の文化です。梅雨時の通風や網戸のことを考えるとやはり「引き違い」が良いのではないでしょうか。少し外観デザインを犠牲にしてもこだわりたい部分です。 d.室内の建具を工夫することで、風通しはずいぶん変わってきます。引戸を多用したり、建具の上部を開放させたりすることで部屋どうしの風通しがぐっと良くなります。
e.必殺技は「讃岐舎」仕様に組み込んだ「越屋根」です。コンセプトで書いたように「越屋根」は讃岐の伝統的建築要素であると共に風を作り出す「しかけ」でもあります。天井附近にに上昇気流が発生することで驚くほど風が抜けます。風を取り込む先人の知恵ですね。
広く使う工夫 室を広く使うには収納の方法だとか家具レイアウト、引き戸を利用し空間が見通せるようにとかいろいろテクニックがありますが、やたらと掃き出し窓を作らないことも重要です。掃き出し窓は一見広さを演出するように思えますが部屋の使い方が限定されます。腰窓なら窓下部分に家具を置くこともできますし、背もたれにもなります。ちょっとしたことが使い勝手に大きく影響するものです。
フレキシビリティ(可変性) 従来の木造住宅は間取りに応じて壁を配置し、間取りが決定してから架構のかけ方を考えるのが通常のやり方です。そのため、全ての壁が構造的に荷重を受ける壁となることが多く、将来の間仕切り変更に対応しにくくなっています。
「讃岐舎」では構造体(スケルトン)とそうでない部分(インフィル)を明確に区分することでインフィル部分の壁はいつでも間仕切り変更が可能なものにしました。ライフスタイルの変更に対応できるフレキシビリティは、実は住宅の耐久性を決める大きな要素の一つであると考えます。 |
U基本性能 |
木材の産地と材質
言うまでもなく木材の品質は重要です。もちろん「近くの山の木」を使います。一般仕様には手に入りやすい「高知産」の杉材を柱・梁など大部分に使用します。土台と大引は、シロアリ対策も考慮し「高知産」桧(ひのき)の芯持ち材(年輪の中心の部分)を使います。さらに「もっと近くの山の木」香川県仲南地区(まんのう町)の桧や杉も用意しています。大黒柱などシンボリックな部材に使ってみませんか?もちろんもっと大々的に仲南の木を使用したいという人のための特別メニュ−もご相談に乗ります。
野菜などの食べ物もそうですが、産地(素性)がはっきりしていることは大切なことだと思います。これからはきっと素性も基本性能の一つの重要な要素になるのではないでしょうか。
木材含水率(乾燥について)
「乾燥」は木を扱うに当たって避けて通れない悩ましい問題です。一昔前の日本家屋は山から切り出した木材を長い時間をかけて天然乾燥させて使っていました。しかし、天然乾燥は時間がかかるすなわちコストがかかることになり、現状の社会システムでリ−ズナブルな「一般解」にするのは難しいのです。「讃岐舎」では日本に数台しかない「高温乾燥庫」で人工乾燥させることにより品質を管理しています。含水率をすべて18%以下に押さえることで、木材のひび割れを最小限に抑えることができます。また全ての部材のヤング係数(木材強度の指標)が自動的に一本一本算出されます。品質管理の難しい生きた木を「高温乾燥庫」で安定した品質管理を行っています。
構造強度
「讃岐舎」ではプレカット(工場機械加工)による伝統継手や仕口をできるだけ大切にしながら、厳選した金物や合板を要所に使用することで耐震強度を大幅に向上させました。金物は「木の家」用に開発されたデザイン的にも強度的にも非常に優れたものを使用しています。また、合板は1.2階とも床合板に28mmの構造用合板(もちろんホルムアルデヒドは極微量のもの)を使い水平面剛性を高め、外壁面材にはMoissを全面に使用することで垂直面剛性を上げています。
木造在来工法は一般には構造計算を行わないため、その強度は設計者や施工者の考え方に大きく影響されます。「讃岐舎」では上記のこととプランのル−ルを設けたことで一定水準以上の高い強度が保証されています。
断熱性能
昔の日本家屋は「夏は涼しいけれど冬寒い家」でした。土壁や土葺き瓦屋根・茅葺き屋根は熱容量が大きいため夏の暑さをしのぐには最適の素材でしたが、断熱性能はさほど大きくない為(茅葺き屋根は別として)、冬の寒さに耐えるには今ひとつでした。「讃岐舎」では夏涼しくて、冬暖かい家をつくりたいと思っています。
断熱性能にはこだわりたいと思います。次世代省エネ基準(現在日本で最も厳しい基準)レベルに近い性能を確保しました。また、断熱材の素材にもこだわります。石油製品の断熱材ではなくエコロジ−性の高い「セルロ−スファイバ−」を使っています。壁は95mm、屋根は一般的な天井断熱ではなく150mmの「屋根断熱」(屋根面を直接断熱する方法)としています。屋根断熱とすることで夏のムッとする暑さの原因である輻射熱をある程度遮断するため、風通しを考えればかなり涼しい家にすることができます。また、セルロ−スファイバ−はドイツの環境雑誌の権威「エコテストマガジン」でも上位にランクされる環境に優しい素材でもあります。もう一つこの素材の優れた点は「呼吸する素材」であるということです。水分を吸収したり放出したりして湿度を安定させる役割を持っています。したがって、いわゆる気密住宅にする必要がないのです。魔法瓶のような「高気密高断熱住宅」ではなくいわば「呼吸する高断熱住宅」なのです。 これからの住宅は「全館暖房・冷房は最少で」が基本だと思います。風通しの良いオ−プンプランもこれがあって初めて実現可能となるのです。 ロ−インパクト(環境負荷の低減)は環境共生住宅の欠かせない要素です。
耐久性への配慮 基礎コンクリ−トは家の耐久性を向上させるには大変重要です。一般の人にはあまりなじみがないと思いますが、コンクリ−トにもその「強度」「水分量」「打設時の柔らかさ」などにいろんなグレ−ドがあります。それによってコンクリ−トの品質は大きく変わってきます。上物の木材が100年もったとしても、今のコンクリ−トは果たして100年もつでしょうか。
「讃岐舎」ではコンクリ−トの品質(強度・スランプ・鉄筋かぶり厚さ)に特別な基準を設けています。
基礎の構造は「べた基礎」としています。一言で「べた基礎」と言っても、いろいろなやり方があります。なかには、ただ土間にコンクリ−トを打っただけで構造的には全く効果がないと思われるようなものも見受けられます。「べた基礎」だから安心というわけではないのです。「讃岐舎」では独自の考え方により、基礎梁をグリッド状に配置することや鉄筋の配置、立ち上がりの厚さ、打設の方法などに厳しい基準を設けています。
シロアリ対策も木造住宅では避けて通れない問題です。薬剤による土壌処理は、大変な環境汚染になりますし、人体への影響を考えると恐ろしいものがあります。10年は保証されていますが、逆に10年で効果はなくなってしまいます。薬剤に頼るのは家にとっても危険なことだと思います。できるだけ永久的な建築的処理で解決したいものです。「讃岐舎」では基礎廻りを中心にいくつかのル−ルを設定し、シロアリが発生しにくい工夫を凝らしています。
設備配管のメンテナンスも重要です。最も早くガタがくるのが設備まわりです。消耗品ですからメンテナンスのしやすさを重視しました。床下配管はすべて土間コンクリ−トの上部で行い建物の下部に埋設させないル−ルにしています。
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V外観 |
外観はなんといっても大切ですね。家は家族のお城であると共に、そこに建ったときからいやでも社会的な評価を受けます。存在自体が許せないような建物であってはいけません。街に調和し風景を形づくる家でありたいものです。シンプルな中にも存在感のある、好感の持てる外観を考えましょう。いわゆる「和風」や「洋風」といった範疇ではない「日本的」な潔いデザインといったところでしょうか。
外壁の材料にはこだわりたいですね。外壁は風雨から家を守るシェルタ−の役割をします。雨風に強いことはもちろんですが、外観の印象を決める重要な部分でもありますのでおろそかにはできません。できれば、年月と共に美しく老いていく(味わい深くなる)自然の素材が良いですね。
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